お知らせ

2025.12.01
2026年1月に新動物病院オープン。高度な動物医療が実現可能に。
動物病院を続けていくというのは、毎日同じ診療だけをしていればよいというわけではありません。
医療の進歩に追いつくこと、来てくださる飼い主さんの期待に応えること、地域の一員として貢献し続けること。そのすべてを大切にしながら、10年先も、20年先もこの厚別区・清田区エリアで動物たちの命と向き合いたい。
そう思ったときに、現在よりも高度な治療ができる環境を整えた設備が必要と考え、2026年1月に、現在の建物の隣に新動物病院をオープンすることにいたしました。
個人経営の枠を越えて、より高度な医療を提供したい
地域密着型の動物病院の限界
近年、動物病院の世界にも大きな資本が入り、個人経営の病院は存続していくことが難しくなってきているのではないか。そんな危機感がありました。
だからこそ、私は「この地域の動物病院として、自分たちらしい細やかなサービスを含めた医療を続けていきたい」と思ったんです。
10年後、20年後、30年後も、厚別区・清田区エリアで選んでもらえる病院であり続けるためには、今ここで新しい一歩を踏み出さなければいけない。そう考えるようになりました。
高度な医療を提供するための新動物病院建築
セカンドオピニオンで重症の子を診る機会も多くなり、高度な治療や正確な検査を求められる場面も増えました。
けれど現在の建物は手狭なので新たな医療機器を増やすこともできず、手術を行うスペースも限られていたので「本当に必要な検査や治療を、この場所で完結させたい」という思いが強まりました。
ちょうどその頃、偶然にも隣の土地を譲っていただけるというご縁に恵まれました。そこから新動物病院づくりに向けての準備が始まりました。
新しい病院は、企業病院に負けない設備を備えて高度な診療に対応しつつ、個人病院ならではの飼い主さんとの距離の近さや行き届いたサービスを提供できる。そんな動物病院にしようと決めました。
CT導入により迅速な治療と精度の向上がかなう
他院に検査を依頼する時間のロスを解消したい
これまでの病院でも、レントゲンやエコーを使った診断、そして外科手術は数多く行ってきました。
ただ、がんの子や重度の循環器疾患など、より慎重な判断が必要なケースでは、さらに詳しいCTを使った検査をする必要があるのですが、当院にはCTを置けるスペースがありませんでした。
そうなると大きな病院にCT検査をお願いすることになるのですが、検査予約が取れてから1〜2週間、長いと3週間待ちになることも珍しくありません。するとその間に症状が進んでしまうケースもあります。
「今すぐここで検査ができたら、もっと早く治療できたのに」と感じることが何度もありました。
病気の発見が遅れたわけではなく、検査にかかる時間が治療のチャンスを奪っていたことが課題でした。
自院で検査ができれば治療スピードがアップする
当院にはがんの子・外科手術を必要とする子が多く来院されるので、できるだけ早く病状を判断し、速やかに手術をする必要がありました。
CTがあれば、腫瘍と血管の距離、浸潤の程度、術中の出血リスクなどを事前に把握できます。
ただ、CTの導入については、先にお話ししたスペースのこと以外にも、設備自体が非常に高額であり、稼働には専用の電源・防護設備を整えなければなりません。
またランニングコストとして電気代だけで年間200万円を超える可能性もあります。
個人病院が導入するにはかなりハードルが高い設備ですので、多くの個人病院では導入を見送っているのが現状です。
それでも私は、「診断や手術の精度を上げたい」「時間を無駄にせず治療したい」という思いを優先して、新動物病院ではCTを入れることを決めました。将来には手術中にリアルタイムで体内の状態を確認できるCアーム(外科用レントゲン装置)も導入したいと思っています。
動物医療の進歩に貢献する研究環境の整備
研究を通じて新しい検査方法や治療方法を発信する
さらに新院ではCTや手術室だけでなく、研究室も併設する予定です。
診療をしながら研究もと言うと少し大げさに聞こえるかもしれませんが、私としてはそれほど特別なことではありません。
もともと大学にいた頃からの研究活動は続けており、治療と研究は切り離せないものだと感じています。
大学だけが研究する場所ではなく、個人の動物病院でも新しい知見を生み出せる環境をつくりたい。
そう思い、今回の新動物病院ではスペースの一角に研究用の部屋を設けました。
ここでは、少しずつ研究設備も整えて基礎研究も実施していきます。どのような抗がん剤が腫瘍に効きやすいかの効果判定や新たな診断マーカーを見つけることも挑戦していきます。同時に検査データの整理や手術記録の検証、大学との共同研究などを進める予定です。
現場で動物たちの治療をしているからこそ見えることも多いので、研究を通じて新しい検査方法や治療方法を見つけ、ここから発信できるような存在になるのが目標です。そうすることで動物医療全体の進歩に貢献できると考えています。
獣医師のネットワークは治療にも役立つ
ありがたいことに、大学時代の同期や医師・獣医の先生方との繋がりは今でも続いています。
治療方針などで悩んだ時には、「こういう症例だったらどう考える?」「別のアプローチはあるだろうか?」と気軽に相談できる仲間がいることは、本当に心強いです。
個人病院でありつつ縦や横のネットワークがあるので、様々な獣医師の意見を取り入れた治療ができるのも当院の強みなのかもしれませんね。
新しい病院づくりで大切にしたこと
飼い主さんの目の届く安心感はそのままにしたい
新動物病院を建てるにあたって、一番大切にしたのは、「病院の規模が変わっても、患者さんとの距離感は変えない」ということでした。
今の病院では、採血もエコーも治療も、すべて飼い主さんの目の前で行います。裏で何をしているのかわからない、という不安を感じてほしくないからです。
飼い主さんも動物も、私たちの手の動きや声かけを見て安心してくれているように思います。このスタイルは新しい病院でも守りたいと思い、できるだけ飼い主さんがわが子を見守れるレイアウトになるよう、設計士さんと相談しました。
患者さんのストレスを軽減するレイアウト
一方で、今の病院では物理的な限界を感じていた部分を改善することにしました。
CTなど検査機器を置けるスペースと単独の手術室を確保し、動線も考えたので、スタッフも動きやすくなり、作業効率もアップすることでしょう。
病院の中の環境も大きく見直し、ワンちゃんとネコちゃんが距離を取れるような待合室・診察室を作りました。シャイな子や、飼い主さんが他の人に聞かれたくないお話をしたい時のために、扉を閉めて話せる部屋も用意しています。
入院室もワンちゃん・ネコちゃんで分け、さらに重症の子はICUへ。動物たちのストレスとリスクをできるだけ減らせるようにしています。
また、駐車場も今までは4台が限界でしたが、新動物病院では10台以上停められる広さを確保しました。
1台ずつのスペースも広く取っているのでして、駐車が苦手な方でも安心して停められると思います。
動物病院にトリミングサービスを併設
病状を把握しながら安心のトリミングを
新しい病院で取り組みたかったことはまだあり、それがトリミングサービスの導入です。
動物病院でのトリミングは単なる美容ではありません。特に病気を抱えている子にとって清潔を保つことが健康に大きく影響するのですが、病気であるが故に一般的なトリミングサービスを受けられない場合もあります。
かといって飼い主さんご自身が自宅でなんとかやってみるけれど、やはり難しい場合もありますから、そんな方のために動物病院でトリミングサービスが提供できればと考えたのです。
病院併設で、動物医療や看護の知識がある馴染みのスタッフが、その子の病状なども確認しながらきれいにしてあげられる点で、飼い主さんも安心できるのではないかと思います。
トリミングが病気発見のきっかけになることも
トリミングが治療やケアに役立つという側面もあります。トリミングでは体の隅々まで見ることになるで、例えば腫瘍を発見したり、耳が炎症を起こしているのに気づくこともできるでしょう。
飼い主さんが気づかない病気の兆候を、トリミング中に発見できるというのもメリットの一つです。
病気の兆候を見逃さず、早期発見・早期治療に繋げ、動物たちの生活の質を守ることにもつながります。
新動物病院では、病気を抱えた子でも安心してトリミングを受けられるように、トリミング専用のスペースを設けています。もちろん、トリミングをしている場所は外から見えるよう設計しているので、ケアの様子を飼い主さんが確認することも可能です。
トリミングを通じて飼い主さんとのコミュニケーションも増えますので、診察外でも悩みや不安があったら気軽に相談していただければと思います。
スタッフが気持ちよく働ける環境づくりの提供
スタッフの心のゆとりが患者さんの満足度にも繋がる
新動物病院をつくる上でもう一つ実現したいことがありました。それはスタッフが気持ちよく働ける環境を提供することです。
スタッフが心地よく働ける環境を整えることで、患者さんに対する思いやりや、仕事への熱意も高まる。そんなよい循環を作りたいと考えました。。
そのため、新しい病院ではスタッフ専用の休憩室やキッチンも完備しています。医療現場はどうしても忙しくなりがちですが、スタッフがしっかりとリフレッシュできる場所を作ることで、仕事に対する集中力も高まります。精神的にも余裕が生まれると考えています。
私たちが大切にしているのは、チームワークです。動物病院は、獣医師、看護師、受付担当などが連携して一つのチームを作っています。そのため、スタッフ同士がお互いに気軽に話せて、サポートし合える雰囲気づくりのためにも、スタッフが気持ちよく働ける場を提供したいと思っています。
情報交換や情報提供の場にしていきたい
スタッフの皆には、この病院でのびのびと実力を発揮し、成長を続けてもらえたらと考えています。
日頃、飼い主さんと接する場面も多いので、患者さんのお悩みを解決するセミナーやフード教室、しつけ教室、介護教室なども、スタッフと協力しながら開催していければいいなと計画しています。
経験豊富なスタッフがこれらを企画・実施することで、飼い主さんとの距離が縮まり、スタッフ自身の成長にも繋がると考えています。
また、スタッフが実践的な知識を身につけることで、病院全体のレベルアップにもなるでしょう。
今後は動物の専門家として飼い主さんたちと情報交換できるような機会を作り、情報発信もここから積極的にやっていきたいですね。
ご相談・ご予約は 北央どうぶつ病院(札幌市厚別区)
TEL:011-893-1010
